押さえるべきポイント
有害因子には、金属、粉じん、有機溶剤、騒音、振動など様々なものがあり、浅く広い知識が必要です。
毎年必ず出題される分野なので確実に点を取っていこう!
作業環境における有害因子による健康障害
「作業環境における有害因子」ってタイトルだけで難しそうで拒否反応…
あまり難しく考えないで…
例えば熱けいれんは知ってますか?
はい、熱中症の一つで汗をかいたのに塩分補給が足りなくて起こるけいれんですね。
そうです。学生の部活のときなんかに起こるイメージですが仕事現場でも起こり得るんです。
そんな風に原因や症状をよく理解すれば分かりやすいです。
これまで登場した健康障害の種類はおよそ13!
金属熱・レイノー現象・減圧症・凍瘡・電離放射線による障害・無酸素状態の症状・熱けいれん・低体温症・熱虚脱・マイクロ波の影響・酸素欠乏症・騒音性難聴・けい肺など。
登場率の高いものから順にみていきましょう。
金属熱
なんとここ10年近く「金属熱」が選択肢になかったことが一度もない!
けどこれまでの問題を見てみると金属熱に関する問題はたった3種類。
間違った選択肢が2つ、正しい選択肢が1つ。
金属熱を正しく理解すれば必ず正誤を見極められます!
まずは正しい選択肢から。
金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛、銅などの金属の酸化物のヒュームを吸入することにより発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。
ヒュームを吸収することで熱が出たり、関節が痛くなる、というのを知っておく必要があります。
気体が空気中で凝固・化学変化を起こし、個体の微粒子となって空気中に浮遊しているもの。ミストや粉じんに比べて粒径が小さい。
と分かると溶接作業や合金製造を行う現場でヒュームを吸い込んでいる作業員が想像できます。
それを踏まえて間違った選択肢を2つ見てみましょう。
金属熱は、鉄、アルミニウムなどの金属を溶融する作業などに長時間従事した際に、高温環境により体温調節機能が障害を受けることにより発生する。
体温調節機能が障害を受けるという症状ではないので✖です。。
金属熱は、金属の溶融作業において、高温環境により体温調節中枢が麻痺することにより発生し、数時間にわたり発熱、関節痛などの症状がみられる。
下線部は正しいけれど前半が間違っているので注意しましょう。
ヒュームを吸収することで金属熱を発症するので✖です。
レイノー現象
次に多く登場するのが、レイノー現象。
何それ?と思いますが、ここはそのまま過去の問題を覚えましょう。
振動障害は、チェーンソーなどの振動工具によって生じる障害で、手のしびれなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。→〇
レイノー現象は、振動工具などによる末梢循環障害で、冬期に発生しやすい。→〇
この2問がレイノー現象のすべてを語っています。
キーワードは、抹消循環障害と冬期。
注意すべきはこの↓↓問題。
全身振動障害では、レイノー現象などの末梢循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害がみられ、局所振動障害では、関節痛などの筋骨格系障害がみられる。→✖
一見正しいように見えますが、下線部の説明が逆になっています。
このように中途半端に正しい説明を混ぜてくると早とちりして正しいと思い込んでしまうので注意が必要です。
減圧症
これもまた馴染みのうすい用語ですが、過去の正しい問題文がすべてを説明してくれています。
減圧症は、潜函作業者、潜水作業者などに発症するもので、高圧下作業からの減圧に伴い、血液中や組織中に溶け込んでいた窒素の気泡化が関与して発生し、皮膚のかゆみ、関節痛、神経の麻痺などの症状がみられる。→〇
若干文章は違うものの、過去ずっと同種の問題。
下線部が酸素だったり炭酸ガスだったり。
もちろんそれでは✖です。
ただ今後の引っかけとして
「窒素」の気泡化が関与して発生し…で正解と思わせておき、後半違った症状を述べる
というパターンも充分に考えられるので
どういった職業の人が、どういう症状で、なんという健康障害を、なぜ起こすのかはしっかり理解する必要はあります。
凍瘡
いきなり「凍瘡」を突破するコツから。
凍瘡=フツーのしもやけ
これさえ知っておけば凍瘡については解ける問題ばかり。
例えば、長年出題され続けているコレ↓↓
凍瘡は、皮膚組織の凍結壊死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。
我々もしもやけになったりしますが、壊死します?
しないのでこれは✖です。
そして2022年10月に初めて登場した問題がコレ↓↓
低温の環境下では、手や足の指などの末梢部において組織の凍結を伴わない凍瘡を起こすことがある。→〇
これがフツーのしもやけの説明です。
電離放射線による障害
これも過去問から学んでいきましょう。
電離放射線による中枢神経系障害は、確率的影響に分類され、被ばく線量がしきい値を超えると発生率及び重症度が線量に対応して増加する。
2022年10月より下線部が 造血器障害 に変わっています。
いずれの場合も✖です。
中枢神経系障害も造血器障害も確定的影響に分類されます。
確定的影響と確率的影響の違いは明確にしておきましょう。
確定的影響:「一定量の放射線を受けると、影響が現れる」現象。特徴は、これ以下なら影響が生じない、これ以上なら影響が生じるというしきい線量が存在するということ。つまり確定的影響は、放射線を受ける量を一定量(しきい値)以下に抑えることで防ぐことができる。
確率的影響:一定量の放射線を受けたとしても、必ずしも影響が現れるわけではなく、「放射線を受ける量が多くなるほど影響が現れる確率が高まる」現象。
無酸素状態の症状
これに関する問題はこれまで1種類しか出されていないのでこの1問でしっかり理解しましょう。
窒素ガスで置換したタンク内の空気など、ほとんど無酸素状態の空気を吸入すると徐々に窒息の状態になり、この状態が5分程度継続すると呼吸停止する。→✖
無酸素状態の空気を1回でも吸い込めば極めて危険な状態になる、が正解です。
熱けいれん
このイラストだけで熱けいれんを覚えました。
いくつかある熱中症の症状はどれも似たり寄ったりでややこしいので一つ明確にしておくと他のものと区別しやすいです。
正しい定義は
暑くて水やお茶ばかり飲んで塩分(ナトリウム)が不足することで起こるけいれんです。
それを踏まえて正誤問題を解いてみましょう。
熱けいれんは、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまい、失神などの症状がみられる。
簡単ですね。塩についても触れられていないし、けいれんもしていません。
明らかに✖です。
これは熱失神の説明です。
低体温症
これまでの出題実績は1種類!
↓↓コレをそのまま覚えましょう。
低体温症は、低温下の作業で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいい、意識消失、筋の硬直などの症状がみられる。→〇
下線部が25℃という間違った選択肢が2013年に一度ありました。
注意!
マイクロ波の影響
これまで2回出題されて2回とも同じ問題でした。
マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。→✖
星が見える赤いマイク
ほ し が 見える 赤い マイク
電離放射線 紫外線 可視光線 赤外線 マイクロ波
←← 短い 電磁波の波長 長い →→
これは『衛生管理者第1種・第2種 フフフと笑って覚える!語呂ゴロ暗記!』のとろろ塾*OL保健師さんのYouTubeからいただきました。
マイクロ波は赤外線より波長が長い電磁波です。
酸素欠乏症
これに関する問題もこれまで1種類しか出されていないのでこの1問でしっかり理解しましょう。
空気中の酸素濃度が15~16%程度の酸素欠乏症では、一般に頭痛、吐き気などの症状がみられる。→〇
酸素欠乏とは、空気中の酸素濃度が18%未満の状態。
16%以下になると頭痛や吐き気、10%以下で意識消失、6%以下で死亡することが多い、ということまで頭に入れておきましょう。
騒音性難聴
2020年4月に一度だけ出された問題。
騒音性難聴は、騒音にばく露され続けた結果、内耳の有毛細胞が変性し、永久的に聴力が障害を受けるもので、初期には4 kHz 付近の聴力が低下する。→〇
これは「作業環境における騒音」で学ぶ基礎知識。
ほかの分野と関連付けて覚えるのは必須!です。
けい肺
2023年4月に初めて出された問題。
この分野では耳慣れない言葉ですが「粉じんによる健康被害」では度々登場するけい肺。
けい肺の原因は遊離けい酸の粉じんであることは知っておく必要があります。
けい肺は、鉄、アルミニウムなどの金属粉じんによる肺の線維増殖性変化で、けい肺結節という線維性の結節が形成される。→✖
鉛中毒
2014年4月に一度だけ出題されています。
鉛中毒では、中枢神経系の麻酔作用による頭痛、めまい、失神と脂溶性による皮膚炎、角化等の症状がみられる。→✖
鉛中毒の症状は、貧血、腹痛(鉛疝痛)、伸筋麻痺など。
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